先生×私Ⅱ~隣の部屋の王子様~
「あ、そーだったよね…………。
何がいいかね……。」
「うーん……。」
「やっぱさ、ずっと身につけてくれるもの……とかがよくない? 先生がつけてていいものって……何だろ。」
「ネクタイ…………香水…………。」
「菜月っ!それよっ!
香水!先生を菜月色に染めちゃえっ!」
うちの高校は校則がとてつもなくユルイ。
可奈子のワガママでメイクもOK。
もちろん、先生の校則もユルイ。
「香水かぁ……どんなのがいいのかな……」
「とりあえず、見に行こっ!」
お店に入ると店員さんが笑顔で尋ねてきた。
「いらっしゃいませぇ!どのような商品をお探しですかぁ?」
「あ……プレゼントなんですけど……」
「彼氏さんかな?
じゃー、これはどうですかぁ?」
差し出されたのは甘い香りの香水。
………………。
なんか違う気がする……。
甘すぎて……。
「ねぇ、菜月。この辺は?」
詩穂が指さしたコーナーは大人の男性っぽいところ。
あ。
私は1つの香水に目を奪われた。
青の透明なボトルに1匹の蝶がついている。
私は手に取り
香りをかいでみる。
「これだぁ…………。」
「菜月??」
「これにするっ!」
「それ?『シュメタリン』?
私にも嗅がせてー!」
詩穂が顔を近づける。
「これ、イイね!大人っぽいのに爽やかで!先生っぽいじゃん!」
「うん!」
『シュメタリン』
そう書かれた香水。
この香りの啓太…………。
やばい。
もっと好きになりそう…………。
「菜月いいの買えて良かったねー!」
「うん♥詩穂ありがとう!」
♪~♪♪~~♪
突然携帯が鳴った。
ディスプレイには「啓太」の文字。
「も、もしもし?啓太?」
「あ、もしもし、菜月今家にいないのか?」
「へ?あ、うん……なんで??」
「いや…………どこにいる??」
「ん?今は……詩穂と買い物してて……」
「あのショッピングモールか?」
「うん!」
「んじゃ、そこで待っとけ。
天見も待たせとけ。」
「ん??啓太…………?」
「迎えに行くから。」
「え?今から?来るの?」
「待ってろよ?」
「う、うん……。」
電話が終わると詩穂が尋ねてくる。
「先生から?」
「うん……。」
「どした?」
「迎えに来るんだって。」
「ほぉ、じゃ、私は帰るわ!」
「ま、待って!なんか詩穂も待っててって…………。」
「ん?なんで?」
「さぁ?!」
啓太……?
20分位した時、また携帯が鳴った。
「もしもし?」
「お、今どこ?」
「アイス屋さんの前だよ。」
「はいよ。」
電話が切れるとすぐに啓太が走ってきた。
「こ、こんばんは杉浦先生……なんで私まで残したんですか?」
「あ、天見。
そりゃこんな時間に1人で帰すわけいかないだろ。」
「啓太?
な、なんで迎えに来てくれたの?」
「もう7時だぞ??心配だろーが!!天見も!さっさと帰んねぇと親心配するだろ?」
「「す、すいません……」」
お、怒っていらっしゃる……。
「帰るぞ!」
そう言ってスタスタ歩く啓太。
慌てて2人で後をついていった。
結局、詩穂の家まで送って行った。
帰り道。
啓太と2人きりの車内。