解けない恋の魔法
「初めて会った日、いつか僕のデザインしたドレスを着てもらえたらなって思った。実際に採寸したわけじゃなかったから、詳しいサイズはわからないままだったけど、朝日奈さんと同じ身長の女性の平均的なサイズでパタンナーに依頼をかけたんだ。縫製は僕も少し携わった。だからこんなに早く仕上がったんだよ」

 初めて会った日に、私の身長から大体でサイズを決めたの?
 そんなにアバウトに型紙を起こしてしまって、実際にサイズが合わなかったら……
 というか、着る機会さえなかったら、どうしていたんだろう?

「ちょうどドレスが出来上がったときに、香西さんからこのパーティの招待があってね。朝日奈さんが一緒に行ってくれるなら、このドレスを着てほしいと思った」

「でも、あの試着のとき……宮田さんはどれでも私が好きなのを選んでいいって」

「そうは言ったけど……僕は最初からこのドレスをさりげなく勧めるつもりだったよ。だって僕にとっては自信作だし、こんなに似合うんだから」

 そう言って、サラリとドレスのスカートの部分に触れられて、ドキっと心臓が跳ね上がる。


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