解けない恋の魔法
「あ、紹介するよ。こちら、二階堂 岳(にかいどう がく)。彼もデザイナーなんだ。六年前からアメリカに行っちゃって滅多に帰ってこないから、僕も会うのは久しぶりなんだけど」

 そう紹介された二階堂さんが、私ににっこり微笑んだ。

「初めまして。二階堂です」

「朝日奈……緋雪です」

 自己紹介する声が震えた。
 彼の綺麗な笑顔が、私にその事実を決定づける。

 彼は……きっとあの人だ。
 私が八年前にチャペルで見かけた、名前も知らない綺麗な男性モデル。

 八年ぶりに見た彼はビックリするほど大人になっていて、男の色気がふんだんに振りまかれていた。
 だけど笑った爽やかな顔は、当時のままだ。

 ずっとまた会いたいと思っていた憧れの人に、再び偶然会ってしまった。
 どうしてそれがここで、今日なのだろう。
 そのことが信じられなくて、私は視点が定まらず、挙動不審になってあわてた。


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