解けない恋の魔法
 ケント紙に綺麗に濃淡をつけて色づけされたデザイン画。
 生地の素材や装飾の内容など、詳しいことは鉛筆で書き込まれている。
 それらを見て、私は息が止まりそうになった。

「あれ……ダメだった?」

 おかしいな、などと口にしながら隣でおどける彼を、
 この時 ――――本当に天才だと思った。

「マーメイド……。こんなすごいドレスのデザイン、私は初めて見ました。最上梨子は……計り知れない天才ですね」

「……そう? 緋雪に褒められると嬉しいな」

「感動して泣きそうです。行きましょう! 部長に見せに」

 テンション高くそう言うと、宮田さんがにっこり余裕の笑みを浮かべた。



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