解けない恋の魔法
声質までいつもより低音になっている。
自然とこんな声と口調になれるのだから、どちらの宮田さんが本当の宮田さんなのか、わからなくなってくる。
そんなことを思いながら、二人が名刺交換するのをただぼうっと見つめていた。
「今日は……最上さんは?」
一緒に来ていると思ったのか、部長が不思議そうに最上梨子の姿を何気なく探している。
「今日は私が最上の代理で見学に来ました。最上は……わがままなところがありまして、外に出ることを嫌いますので」
わがままなのは、あなたです。