解けない恋の魔法

「僕は朝日奈さんが好きなのか……」

 なんだ、そういうことか。
 などと、納得したような顔をする宮田さんを前に、私は驚愕して言葉が出ない。
 ただ宮田さんを見つめて、パチパチとまばたきを繰り返してしまう。

 私は今、告白されたのだろうか。 宮田さんから?

 ま、まさか。
 だって宮田さんにとって私は、ただの仕事相手で。
 ほかの女性と変わらない、からかって遊ぶだけの、なんてことはない存在のはずなのに……

「冗談……ですよね?」

 だけど。宮田さんの唇が触れた額が、そこだけ熱を持って熱い。

 どうしちゃったんだ、私……
 というか、唐突になんてことをしてくれるんだ!

「本気だけど?」

 宮田さんは、外見は大人で、スマートで。
 普段あんなふうに喋らなければ、キリっとしたイケメンの部類の男性だ。

 いつもイタズラっ子みたいに、にこっと笑うのに……。
 今はその笑顔が消えていて、キリっとした部分だけが突出してしまっている。

 それは……男性のフェロモンなのか。

< 79 / 280 >

この作品をシェア

pagetop