俺様とネコ女
「おい。今絶対後ろ向くな」

そう言って、コウは誰かに軽く頭を下げた。そろそろ帰ろうかという頃だった。


「誰?」

「レジに総務の女がいる」

「え?こっち来ない?」

「男連れだから来ないだろ。去年振ったし」

「え?」


去年振った?コウ、本当にモテるんだ。もしかして、私みたいな関係だったとか。

「見たい!」

「無理」

「無理じゃない」


結局後ろを振り向けないまま、コウが立ち上がるのを待った。総務の人が店を出るまで待って。


「ごちそうさまでした。いつもありがとう。初給料貰ったら奢るからね」

「ガキには奢られない」

「じゃあ割り勘ね」


コウは無言で、私の頭にポンと手を置いた。そんなことしないで。そんな、優しい素振り。
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