俺様とネコ女
下に降りるエレベーターの中で特大のため息を吐き、自問自答だ。


俺は何をやっているんだ?

女を家に連れ帰って、化粧品を買って来いと強請られて、女のためにコンビニに向かっている。

直哉に言ったら、間違いなく驚かれて冷やかされる。直哉には絶対言わない。


1階のコンビニのレジの男はいつもの男だ。二十歳そこらの学生だろう。

”急なお泊りに”と書かれた化粧品のセットと赤いハブラシを買う俺を、レジの男がちらり、目をやる。何か言いたげな目。

あの女、絶対許さん。なんで俺がこんなことを。
< 31 / 337 >

この作品をシェア

pagetop