俺様とネコ女
「転勤って言われて、一番に考えたのはお前のことだった。結局、どうしたらいいかじゃなくて、自分がどうしたいかを優先させた。一般的に考えて、出会って3ヶ月で結婚なんてどうかと思うだろ。そういうの散々葛藤したけど、お前と離れたくないと思った」


スルーされるものだと思っていた。でもコウは、一言一言に思いを乗せ、紡いでくれた。

だめだよそんなの。感動するじゃん。


「泣いてもいい?」

「我慢しろ」

「おい!俺の胸でーって、抱きしめてくれるとこじゃないの?」

「無理」

「え。ほらほら、ぎゅぎゅっと、」

「あほネコ」

「うわ。そのノリないわあ」


涙が引っ込んで、笑いに変わった。コウも笑ってるから、それだけでも十分うれしい。

コウといられる幸せを、こっそりと、噛みしめた。


「あーあ、わたし来月から無職とかヤバい」

「無駄な高学歴だな」

「ちゃんとした会社に再就職したほうがいいのかな。そもそも、できるかな」

「心配しなくても、お前一人くらい養っていけるから」

「不本意だけど、次の職に就くまではお世話にならざるを得ないので、よろしくお願いします」

「お前が望むなら早瀬社長に頼んでもいいし、専務にお前も本社で働かせてくれって頼んでもいい」


それには首を横に振った。

急な異動で大変な時なのに、わたしの仕事のことまで。
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