俺様とネコ女
「離れろ」

「なんで?」

クスクスと、挑発的で誘っているかのような上目遣い。面白がって腕を組んでくる。上腕に、柔らかな膨らみが触れる。


「寝ろ」

「ベッドで寝ていい?」

「ふざけんな、お前ソファー」


俺は逃げるようにソファーから立ち上がり、ベッドへ入って電気を消した。


「布団ないぞ」

「え。やだ」

無視。

「ねぇ」

とにかく無視を決め込んだ。

ゴソ、布団が擦れる音がしたかと思うと、マットレスが沈む。人の存在を察した次の瞬間、ここがベッドに潜りこんできた。


「馬鹿かお前は」

「ちっちゃい電気つけて?」

「は?無理」

ちょっと、マジでくっつくな。ここに背を向けると、その背中にピタリと身を寄せ、小さく丸まってくる。


「ごめん。真っ暗怖いの」

ソファーに戻るのなら。と、仕方なく枕元のリモコンを操作し、薄っすらと電気をつけてやる。


「ありがと」

だがしかし、ベッドから出て行く気配がない。


「おい、あっち行け」

「コウと一緒に寝たい」


更に密着し甘えてくる。ここの温もり、柔らかさを感じ、ますます危機感が強まる。
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