彼方の蒼
順調かつ厳かに、式次第通りに卒業式は進んだ。卒業証書も受け取った。
卒業生代表の挨拶は他のクラスの男子生徒が務めた。元生徒会長だ。
うちのクラスの委員長じゃないのか、と思って委員長の様子を探ろうとしたけれど、確かめるのは悪趣味だと気づいて途中でやめた。
こういう役、好きそうだとは思う。
だけど、なにもかもを望みのままにすることなんてできない。叶わない願いもある。
卒業生合唱では柄にもなくあがった。
冷え切った体育館はストーブをいくつ置いてもちっとも暖まらなかったのに、ステージに設えられた段に上ると照明の熱を感じた。
上から照らされると当然のことながら明るくて眩しくて、それだけ注目を浴びているということで、前方からの視線を受け止めがたいくらいに感じ取ってしまい、一曲目は頭の中から歌詞が何度か飛んだ。
二曲のうちの最初のほうが内山のピアノ伴奏だ。
ごめん内山。僕は心のなかでこっそり謝っておいた。
角度がきついのとグランドピアノの蓋が邪魔しているのとで内山の姿はほとんど見えなかった。
内山は練習と寸分と違わぬ音を響かせていた。
ケンカの負傷休暇中の僕にびびっていたあの内山と同一人物とはとても思えない。
肝の据わりかたがすごい。
今のうちにサインもらっといたほうがいいかもしんない。
少しの静寂を挟み、二曲目のピアノ伴奏が流れる。
さすがに終わりを意識した。
この歌のあと、僕たちは——。