兄貴がミカエルになるとき

-3-

飛行機で11時間。ニューヨークは遠い。

しかし昨晩は深夜までトオ兄と一緒にDVDを見ていたおかげで、離陸するとあっという間に睡魔に襲われ、数時間ぐっすり寝てしまった。

機内食の準備をするガチャガチャ言う音で目が覚めた。

喉がぱりぱりに乾いている。

「水持ってる?」

横に座っているトオ兄に話しかけると、空港で買ったペットボトルを無言で渡してくれた。

「トオ兄、ずっと起きてたの?」

「いや、寝てた。お前が俺の肩に頭をもたげて爆睡するから、その重みに耐え切れず、俺もさっき目が覚めた」

「うそだね」

「ほんとだよ。右肩が外れるかと思った」

「大げさな」

ペットボトルの半分の水を一気に飲む。
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