兄貴がミカエルになるとき
楽屋に戻ると、まるで憑き物が落ちたかのようにしゅるしゅると私の中からシャイラが抜けていった。

とたんに心細い高校生に戻った私は膝も心もがくがくし、立っているのも危うかった。

20センチのピンヒールのサンダルを脱ぎ、大きく深呼吸する。

気付けば、トオ兄が横にいた。

そして私の右手を握りしめ、耳元で囁いた。

「お疲れ。惚れそうなくらいカッコよかった」
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