兄貴がミカエルになるとき
トオ兄は水にりんごジュースにサイダーに麦茶とグラスを2つ、それにお菓子まで乗せたトレイをベッド脇のサイドテーブルに乗せた。

「全部持ってきてくれたの?」

「水と麦茶とジュースは冷蔵庫にあったけどサイダーがなかった。だからコンビニまで走って買ってきた」

「随分早かったね」

「ダッシュした。足の長さを最大限活かしたスーパーダッシュだ。で、何を飲みたいのか決まったか」

「えっと、じゃあサイダー。で、ちなみに何怒ってるの?」

「別に怒ってなんていない」

トオ兄は流し目で私をちらっと睨みながら、サイダーをグラスに注いで渡してくれた。

グラスを顔に近づけると、シュワシュワと弾ける冷たい気泡が肌にあたってこそばゆかった。

< 178 / 307 >

この作品をシェア

pagetop