兄貴がミカエルになるとき
わずか1時間ほどで予定は終了し、担任の先生の「それじゃあ、9月まで体に気を付け、問題のないよう元気に過ごしてください」という言葉に送られ、私たちは教室を出た。
幸っちゃんと美奈ちゃん、久美ちゃんと一緒に帰ろうと下駄箱に向かったところで、図書室に取り置きしてもらっていた本をとってくるのを忘れたことに気付いた。
みんなに先に行っててもらい、少し後から慌てて校門を出た。
すると男子部の生徒がひとり、正面の壁に寄りかかって立っていた。
派手じゃないのに、なぜか人目を引くタイプ。制服の着こなしもなにげにオシャレだ。
誰かに似ている。
そうそう、今人気の韓流アイドルみたいな感じ。
女子部の誰かを待っているのかな、と考えながら彼の前を通り過ぎたところで声をかけられた。
「季咲良さん、だよね?」
え、私?
知らない男子に呼び止められることはめったにない。
というか、初めてだ。予期せぬときに予期せぬ人から名前を呼ばれ、驚いて立ち止まる。
「通り過ぎないでよ、君を待ってたんだから」
爽やかな笑顔を浮かべて、その韓流アイドルみたいな男子生徒が近づいてきた。
「ぼく、男子部1年の三品孝。よろしく」
「よろしく……」
幸っちゃんと美奈ちゃん、久美ちゃんと一緒に帰ろうと下駄箱に向かったところで、図書室に取り置きしてもらっていた本をとってくるのを忘れたことに気付いた。
みんなに先に行っててもらい、少し後から慌てて校門を出た。
すると男子部の生徒がひとり、正面の壁に寄りかかって立っていた。
派手じゃないのに、なぜか人目を引くタイプ。制服の着こなしもなにげにオシャレだ。
誰かに似ている。
そうそう、今人気の韓流アイドルみたいな感じ。
女子部の誰かを待っているのかな、と考えながら彼の前を通り過ぎたところで声をかけられた。
「季咲良さん、だよね?」
え、私?
知らない男子に呼び止められることはめったにない。
というか、初めてだ。予期せぬときに予期せぬ人から名前を呼ばれ、驚いて立ち止まる。
「通り過ぎないでよ、君を待ってたんだから」
爽やかな笑顔を浮かべて、その韓流アイドルみたいな男子生徒が近づいてきた。
「ぼく、男子部1年の三品孝。よろしく」
「よろしく……」