兄貴がミカエルになるとき
人の悩みはそのときどきで、結構こまめに移り変わってゆくものだ。

小学生の頃は人に名前を告げるたびに「え?」と聞き返されたり、
「きさ・らさきさん?」と切りどころを間違われたり、ややこしい名前をただからかわれたり、
そんなことが憂鬱の種だった。

でも中学生になって、もっと大きな特徴を持ってしまった今では名前なんてどうでもよくなった。

名前も隠しようがないけれど、今の悩みの種はもっと瞬間的に認識されてしまうもの。

その上、その『種』は、今も育ち続けているのだ。

そう、名前以外は別段目立った特徴がなかったはずの私の今の悩みは、“デカすぎる”ことだ。

小学校6年生の時には身長160センチ。少し高いけど、まあ驚く程ではなかった。

「背が高いね」と言われても、笑っていられるくらいの高さ。

それが中学生になるとあっという間に170センチになって、焦って牛乳を飲むのを控えるようにした。

そして中学2年の今は175センチ。

いったいいつまで成長するのだろう。

このまま伸び続けたら……と想像すると恐ろしい。

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