兄貴がミカエルになるとき
5月の始めで、日差しは強くなっていたけれど、初夏というにはまだ肌寒かった。
それでもカフェにはTシャツにショートパンツ、半袖のワンピースにサンダルを履いた夏服の人たちで賑わっていた。
ニューヨーカーは薄着が大好きだからね。
さわさわさわさわ、風に吹かれて木々の葉が軽い音を立てていた。
街路樹の緑が新しい季節を心待ちにしているように、風に揺れて見えたのは、自分の気持ちが浮き立っていたせいかもしれない。
視線をストリートに移した。
光を反射してアスファルトが白っぽく光っていた。その上をこちらに向かって走ってくるアキの姿が見えた。
乾いたアスファルトを蹴り上げ、すごく真剣な顔をしてね。そして、僕のもとに着くと、右手にした腕時計をチェックして、『ぎりぎりね』と、ようやく息をついた。
< 201 / 307 >

この作品をシェア

pagetop