兄貴がミカエルになるとき
私がはぐれないよう、迷子にならないよう、怖がらないよう、ママが呆れ、パパが笑うほど、世界一心配性のお兄ちゃんだったと、ずいぶん前にママが笑って教えてくれた。

成長するにつれ、手をつなぐことはなくなった。

最後にトオ兄の手を握ったのはいつだっただろう。

夏の明け方にクヌギ林へカブトムシを採りに行った時、2人でお使いに行った時、家族で海水浴に行ったとき。

懐かしい手の感触が、いろんな思い出を連れ出してくる。
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