兄貴がミカエルになるとき
第二章

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バレンタインデーのお祭り騒ぎが終わり、期末試験を乗り越えて春休みがやってきた。

春休みが終わると学年が変わるので、クラス替えがある。

仲の良い美奈ちゃんや久美ちゃんとまた一緒のクラスになれますように―――。

そしてリカコとはどうか絶対に違うクラスにしてください。

近所の神社に本気でお願いしてきた。

リカコの理由なき嫌がらせはとどまることを知らず、人の机の上のものを落としてみたり、わざとぶつかってきたり。

机の上に「巨人はじゃま」と書かれた落書きも、リカコの仕業だと確信している。

体育の時間に一緒にバスケットボールでもした日には、必ず誰も見ていないすきに人をどついてくる。

さらには勝手にぶつかって倒れておきながら、「季咲良さん、いたーい」なんて甲高い声を上げてわざとらしく
顔をしかめてみせる。

様子を見ていた久美ちゃんが「ぶつかったのはあんたでしょ」とフォローしてくれても、「ひどーい」なんてぶりっ子のすね顔を作って、まわりにアピールするので、本当にうんざりだ。
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