兄貴がミカエルになるとき

「何、これ?」

「友達おやつ、ってとこか」

「友達おやつか。なんか、いいね。あ、このプレミアムロールケーキ、大好き。美味しいからよく買うんだ」

「そっか? さすが友達だな、俺って。友達のことはよくわかるんだよ」

緊張がとけて、真田はいつものお調子者の真田に戻った。

「でも、あんぱんてどういう発想よ?」

「あれ? 好きじゃない? 俺、スゲー好きなんだけど。あんぱんに牛乳、最高だぜ」

「それ、おやつっていうか、朝食じゃない?」

「何言ってんだよ、スポーツマンのおやつはあんぱんと牛乳で決まりだ」

私たちはたわいないおやつ討論をしながらリクレーションルームまで一緒に歩いた。

腕に下げたコンビニのビニール袋がゆらゆら揺れて、その度にシャカシャカ音を鳴らした。

シャカシャカシャカ、軽くて楽しげな音が、私たちの会話についてきた。


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