兄貴がミカエルになるとき
「咲季はもっと文句言わなきゃ。何も言わないからいい気になるんだよ。ちゃんと戦え!」

そういつも久美ちゃんに叱られているけど、それがなかなかできない。

できれば何事もなくやりすごしたいと安易な方に流される。

なので、とりあえずは他力本願、神様に祈るのだ。

神様、どうか、どーか、次はリカコのいないクラスで中学最後の一年を安らかに過ごさせてください。

神様、お願い致します。



このときまで私の最大の関心ごとは、小さな学園の中の小さな世界のことだけだった。

苦手な同級生リカコのこと。

勉強のこと。

部活のこと。

そして大きすぎる自分にまつわる些細な出来事が最大関心事で、

その世界が私を泣かせたり笑わせたり、

悩ませたり、

ときめかせたり、

とにかく私のすべてだった。
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