兄貴がミカエルになるとき
5時間目の授業が終わると、久美ちゃんが少し離れた席から机の間を縫って小走りしてきた。

どんな時でも動きが敏捷だ。

私だったらその手前の少し飛び出た机に体をぶつけているに違いない。

いつもは一緒に帰る美奈ちゃんは、委員会があるから先に帰っていてと、教室を出て行った。

園芸委員会。

おっとりと女の子らしくて花が似合う美奈ちゃんにぴったりだ。

「今日は部活がないから一緒に帰ろう」

「めずらしいね、部活がないなんて」

「うん。校庭も体育館も、今日は他の部でいっぱいで使えないの。
そういうときは部が交代でお休みになるんだけど、今日はバレー部。
毎日練習じゃ先生も疲れちゃうしね。ま、骨休み日ってことかな」

桜田久美子こと久美ちゃんはバレーボール部に所属していて、二年生の中ではエース的存在だ。

入学して同じクラスになった時、最初に話しかけてきたのが久美ちゃんだった。

ほかの子たちは私の背の高さについて触れていいものかと戸惑っている中で、
私のもとに一直線に駆け寄ってきた。

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