兄貴がミカエルになるとき
もともと日本好きなのか、それともママと出会って日本オタクになったのかは知らないが、リチャードは年中日本を訪れている。

私より、京都にも東京にも詳しいし、たまに「豚の耳に真珠」といったことわざまで披露するほど日本語も流暢だ。

なので、英会話を勉強したいとママに頼んだときに、それならタダで教えてくれる先生がいるからスカイプでレッスンを受けしなさいと、1年前に紹介されたのがリチャードだった。

リチャードとスカイプで話し始めて1カ月くらいたってから、実はただの日本好きのアメリカ人ではなくフォトグラファーで、それも「超有名」だとトオ兄から聞いて驚いた。

で、なぜ最近リチャードが毎日ママのところに電話してくるかというと、担当している有名なファッションブランド『シェリル』の広告写真のインスピレーションがまったくわかないと、ときにしょげ、ときにいらつき、ときにぶつくさ言うためだ。
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