兄貴がミカエルになるとき
「あと十回歩いてもダメだったら、もうレッスンしてやんない。見込みがないってリチャードに電話して、とっととどっかに遊びに行くわ。もうあたし、すっごく忙しいんだから。おたんこなすに付き合ってるほど暇じゃないのよ。トオルがいなかったらきっと我慢の限界よ。そうだわ、あんたが満足に歩けなかったら罰としてトオルに今日は朝まで付き合ってもらうわよ。ほら、歩きなさい」
ごくり、とトオ兄が横でつばを飲む音がした。
「咲季、頼むからちゃんと歩いてくれ」
その表情は切実だ。
「ちゃんと歩いてるってば」
「いや、死ぬ気で頑張れ。いいか、こうだ」
トオ兄までもが腰をしならせフロアを歩き出だした。
すごい、ティムさんと同じくらい春風にのって歩くレディに見える。
ごくり、とトオ兄が横でつばを飲む音がした。
「咲季、頼むからちゃんと歩いてくれ」
その表情は切実だ。
「ちゃんと歩いてるってば」
「いや、死ぬ気で頑張れ。いいか、こうだ」
トオ兄までもが腰をしならせフロアを歩き出だした。
すごい、ティムさんと同じくらい春風にのって歩くレディに見える。