兄貴がミカエルになるとき
「No bobbing! Shoulder back! Take a turn ! 」

「 No―――――――――! 」

「How many times do I have to tell you !」

「バカバカバカーー! こうするのよ!」

ティムさんがイラつきながら自分もヒール姿でウォーキングの手本を見せる。

しなやかでエレガント。

タンクトップにバミューダパンツにハイヒールという妙な格好なのに、まるで歩くたびにドレスがひらりひらりと踊っているようだ。


春の日差しのなかを、軽やかに歩いていく幻の女性が見える。

「ティムさん、すごい」

思わず拍手を送った。

「ふんっ。当然よ」

右足に重心をかけ、腕を組んで私を睨む。
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