兄貴がミカエルになるとき
それでもささやかなエコ精神で、2店あるコンビニストアのうち蛍光灯の点灯数が少ない店を選んで入った。

「できることからコツコツと!」

“コツコツ”がまったく苦手なはずのママの口癖に、気付けばすっかり染まっている。


お店に入るとまっすぐ冷蔵コーナーに向かった。

そしてお財布の中に400円持っていることを確かめてから、3日に1度はどうしても食べたくなる「黄金プリン」を棚から2つ取り出す。


午後4時前の店内は、主婦やサラリーマン、私みたいな学校帰りの学生で
それなりに混みあっていた。

レジまで数メートルの距離を歩く間に、中学生と思われる女子が1人、
高校生らしき2人連れの男子と年配の女性がそれぞれ私の背の高さに反応した。

人は驚いた瞬間、咄嗟に驚いた顔をしてしまってから、慌てて驚かない振りをするものだ。

でも、それじゃ遅いのだ。

それに、たまに表情だけじゃなくて「デカっ」という驚きの声まで発してしまう人もいる。

無意識なんだろうけど、そのたび心に何かが落ちていく。

それは砂粒ほどのわずかな重み。

けれど少しずつ溜まっていって、いつかその重みで歩けなくなる日がくるかもしれない。

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