兄貴がミカエルになるとき
小学生の頃から幸っちゃんの心はすでに女子だった。
一応がんばってスポーツマン的男子を演じていたものの、中学生の時、「どうしても男子でいることが辛い」と嘆いていた幸っちゃんに、「じゃあ、女子として咲季と同じ学校に通えばいいじゃない」と、軽はずみにも言っちゃったのがママである。
そのとき「バレないかなあ?」と不安そうにしながらも、幸っちゃんの瞳は希望できらきらと輝いていた。
「バレないわよ。東宮にプールの授業はないし、身体測定は個人ですることになっているからトイレさえ間違えなければ平気じゃない? ね、学長?」
と、いきなりパパに話が振られた。
実は日本でも5本の指に入る由緒正しき名門校の東宮学園は、パパの御爺ちゃんが創った学園で、現在はパパが学長を務めている。
これを聞いたパパの妹、つまり幸っちゃんのママは怒るかと思いきや、「あら、幸夫よかったじゃない」と素直に喜び、学長であるパパだけが「うーん、うーん」と唸っていた。
一応がんばってスポーツマン的男子を演じていたものの、中学生の時、「どうしても男子でいることが辛い」と嘆いていた幸っちゃんに、「じゃあ、女子として咲季と同じ学校に通えばいいじゃない」と、軽はずみにも言っちゃったのがママである。
そのとき「バレないかなあ?」と不安そうにしながらも、幸っちゃんの瞳は希望できらきらと輝いていた。
「バレないわよ。東宮にプールの授業はないし、身体測定は個人ですることになっているからトイレさえ間違えなければ平気じゃない? ね、学長?」
と、いきなりパパに話が振られた。
実は日本でも5本の指に入る由緒正しき名門校の東宮学園は、パパの御爺ちゃんが創った学園で、現在はパパが学長を務めている。
これを聞いたパパの妹、つまり幸っちゃんのママは怒るかと思いきや、「あら、幸夫よかったじゃない」と素直に喜び、学長であるパパだけが「うーん、うーん」と唸っていた。