聖魔の想い人
しかし、全てがこの国が出来上がってからこれまでのことが書かれているもので、ほとんど役に立たなかった。
タガヤは唇をかみ、読んでいた書物を木籠に少し乱暴に戻すと、がたっ、と木籠がずれた。その下に引き戸があるのに気付いた。随分長い間開かれていなかった証に、ほこりが山と積もっている。
取っ手を持ち引き戸を引くと、ぶわっ、とほこりが舞い、タガヤは咳き込んだ。
ほこりがおさまり中を見ると、薄汚れた布に包まれた物が見えた。心臓の音が一気に高鳴った。理屈じゃない。史読みの勘だ。
そっ、と包みを持ち上げて布をほどくと、大量のはしが崩れた石板が現れた。
薄い石板には、びっしりと古代文字で端から端まで文章書かれていた。
石板を持ち上げる手が震える。それは、自分が探していた物に間違いない、という気がした。
<天ノ宮>に戻って来て四日目。オウノが意識を取り戻した。目覚めてしばらくは、まだぼうっ、としていたようだが、半時も経つと意識もしっかりし、帝へ今回のことを報告に行った。
謁見の間は、すでに重苦しい雰囲気に包まれていた。長い白髪と白いひげの老人、帝の相談役<大賢者>が、立派な衣に身を包んで隅の前に座っている。
タガヤは唇をかみ、読んでいた書物を木籠に少し乱暴に戻すと、がたっ、と木籠がずれた。その下に引き戸があるのに気付いた。随分長い間開かれていなかった証に、ほこりが山と積もっている。
取っ手を持ち引き戸を引くと、ぶわっ、とほこりが舞い、タガヤは咳き込んだ。
ほこりがおさまり中を見ると、薄汚れた布に包まれた物が見えた。心臓の音が一気に高鳴った。理屈じゃない。史読みの勘だ。
そっ、と包みを持ち上げて布をほどくと、大量のはしが崩れた石板が現れた。
薄い石板には、びっしりと古代文字で端から端まで文章書かれていた。
石板を持ち上げる手が震える。それは、自分が探していた物に間違いない、という気がした。
<天ノ宮>に戻って来て四日目。オウノが意識を取り戻した。目覚めてしばらくは、まだぼうっ、としていたようだが、半時も経つと意識もしっかりし、帝へ今回のことを報告に行った。
謁見の間は、すでに重苦しい雰囲気に包まれていた。長い白髪と白いひげの老人、帝の相談役<大賢者>が、立派な衣に身を包んで隅の前に座っている。