西山くんが不機嫌な理由





手袋に視線を定めて何か言いた気にしているけれど、結局言葉を発することはなかったのでそれ以上追求することはしない。



様子を窺っていたところ、嫌がっている素振りはないのでとりあえずは一安心。



「…………凪」

「あれ。もしや西山くん紺色嫌いだった?」

「…………すき」



色を対象にして言っているのは知っているけれど、頬の熱が上昇していくのが分かった。



暗闇だから顔が良く見えなくて良かった。


なんて安堵した矢先に西山くんが顔を覗き込んできたので、真っ赤な顔をお披露目することになってしまった。



今日くらいは、1年に1度だけの特別な日だからまあ良しとしよう。


完全に開き直り、衝動的に西山くんの胸に自ら抱き着く。



西山くんが一瞬戸惑ったのか身体が強張ったけれど、拒むことなくそうっと背中に手を回す。



「西山くん。誕生日おめでとうー。あと明けましておめでとうー」

「…………聞いた」

「へへー。なんかもっかい言いたくなった」



言いながら、西山くんの手に少しばかり力がこもった気がする。



そこで緊張気味に、ずっと気に掛かっていたことを尋ねるべく口を開く。




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