「笑顔をくれた 」~ありがとうを伝えたい~
”見つかった”

警察が到着し、事情聴取や事件現場での取り調べなど、2、3時間はかかりました。

混み合っている店内の中、まるで私たちが何かをしたかのような状況でした。

話を聞いていたら、ここ最近デパート内でのバックの盗難被害が10件以上もあったそうです。

私もその内の1人にすぎなかったのだろうか。

前回盗難された方の話によると、

「跡をつけられていた」
その人の特徴なども教えてくれました。

もしかしたら、私達も跡をつけられていたのかもしれない、犯行を計画していた同一犯なのかもしれない。

まさか自分たちがそんな被害に遭うとは思ってもみなかった。

自分たちが気をつけていなかった、隙を見せてしまっていた、言えば言うほどキリがないのはわかっているけど、本当に悔しかった。

無くなったものは、作り直したり、買い換えたりは出来るが、取り戻せない物もあった。

盗まれてしまったものは仕方が無いとは言うものの、私はなかなかそのショックから立ち直る事が出来ず、その犯人が、また犯行を行おうとしているのかと思うと、許せませんでした。
もしあの時、Yちゃんがいなく、私1人だったら、もっと不安になっていただろう。

警察からの連絡も途絶え1、2ヶ月が経ったある日、諦めかけていた私の元に、突然警察から連絡が入った。

「バックが見つかりました」
この事件はまだ終わっていなかったんだと思いました。
私はすぐに警察署に向かいました。

通された部屋は、テレビで見るような取り調べ室で、ライトを照らされカツ丼が出てくるような、まさにそんな雰囲気が漂っている部屋でした。

犯人の部屋には盗難したバックがいくつもあり、誰が誰のだか分からなくなっていたそうです。

レシート1つ1つまで確認し、持ち帰る事が出来ました。

やっとこの事件も終わり安心し、Yちゃんにも報告をした。

「本当に良かった」
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