契約彼女~His Love~


「はぁ・・・っは・・・・・・ん?」


「離して下さい!」
「お金はおじさんが出すからさぁ、
ちょっとだけお話ししようよ。ね?」
「結構ですから、離して下さい!!」
「いいからいいから。さ、行こう」

目の前に嫌がる女の子を強引に誘う中年のおっさんがいた

周りの奴らは、見て見ぬ振りをしたり

面白そうに笑って見てたり

誰も、止めようとなんてしない。

いつもの僕ならきっと見て見ぬ振りをして去っていただろう

そう、″いつもの″僕なら。

ーーーきっと、この時の僕はどうかしてたんだろう


「やめろよ、おっさん。
その子、嫌がってんじゃん。」

「!!」

「あ?何だ、ボウズ?」

きっと、この時の僕は全てにイライラしていたんだろう

だから、こんなことをしたんだ

「いい年の大人が、見苦しいんだよ。
早くどこかに消えろ。」

「年上に向かってなんて口きいてんだ!」

「年上の癖に若い女をエロい目でみてんじゃねぇよ。」

「このガキ・・・!!」

「こっちは、イライラしてんの。
早く、失せろ。」

うざったいおっさんだなぁ・・・

「うるさいっ!ガキの癖に生意気な!」

「あーあ、早く帰らないからいろんな人がおじさんのこと見てるよー。」

「なっ!・・・くそっ!覚えてろよ!!」


ダッサイ捨て台詞を吐いて逃げたおっさんを冷めた目で見やる


「あの・・・」

僕がそのままでいると、声をかけられた

「あ、ありがとうございました・・・。

それと、よかったら、これ・・・」

お礼の言葉とタオルを渡された

「え、でもこれ・・・」

「そんなに濡れてたら、風邪を引いちゃいますから・・・。
別に、汚れても大丈夫なので、どうぞ使って下さい。」

「あ、はぁ・・・じゃあ、お言葉に甘えて」

「あ、っと、その前に傘の中に、入って下さい。」

「いや、流石にそれは、悪いですよ・・・」

「いいえ、入って下さい!じゃないと私の気がすみません!
それに、傘を差さないままだと拭いた意味がないじゃないですか!
だから、入って下さい・・・」

「え、ああ・・・ハイ」

彼女に言われ傘に入った

そして、少々抵抗はあったがタオルを使い顔や頭を軽く拭いた

「それじゃあ、あの・・・家まで、送ります。」

「いや、それは・・・」

「悪いとか、思わないで下さい。
ただ、私がしたいだけなんです。」

「は、ハイ・・・」

普通は、逆じゃないか?

「じゃあ、行きましょうか・・・?」

「うん、そうだね・・・」









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