恋は盲目〜好きって言ってよ

ふと、目に入った雑貨屋に入ると彼女は

手に大きなキーホルダーを持っている。


女は、なぜこんな邪魔になるような大き

な物を欲しがるのか?


「俺もほしいな」


彼女に話を合わせると何を気に入らなか

ったのか、いらないと別の物を見に行っ

てしまう。


困惑してしまう…


そうだ俺の部屋の鍵をつけて彼女に渡そ

う。


そうすれば、俺の気持ちが通じるだろう

か?


いいアイディアだと考え、彼女が見てい

た大きなポンポン玉のキーホルダーを彼

女の隙をみて買った。



さて、どうやって渡そう⁈

車を走らせ、考えを巡らせる…


帰り際、雑貨屋の袋を持っているのを見

られているから今日中に鍵をつけて渡さ

ないと誤解してしまうだろう。


渡さないと俺から離れていくかもしれな

い。


なら、今日中にどうやって渡す?


キーホルダーにはまだ部屋のスペアキー

をつけていない。


スペアキーはここにある。


考えているうちに彼女のマンションに到

着してしまった。


このまま帰したくない。


なら、答えは一つだ…


「…明日、俺の部屋から仕事に行けばい

いのに…」


俺を気遣い困惑しているが彼女の顔を見

れば、もう一押しだ…


「…一緒にいたいから……」


頬を染める奈々。


「で、どうする?オプション付きだけど

俺の部屋に来るよね」


なんて、自分も照れくさくておどけてみ

せる。


断るなんてさせない。


彼女が、部屋から戻ってくる前にキーホ

ルダーに鍵をつけ袋に戻す。


気付かれないように上手く渡せるだろう

か?


彼女の喜ぶ顔が見れるだろうか?




タバコをくわえ火をつけて大きく煙を吸

う。

今から緊張して鼓動の速さを誤魔化すた

めにタバコを吸うなんて余裕がなさ過ぎ

る。


俺をこんなにするのは…奈々…お前だけ

だよ。
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