ねこにごはん【完】
「お弁当作ればいいのに」
「めんどー」


この前の奈良くんと言い、最近の男の子は面倒くさがり屋が多い。
そもそもお母さんが作ってくれたりはしないのだろうか?
それを訊ねようか迷って、何か訳ありかもしれないという憶測が頭を過ぎった。

質問を胸の内にとどめた反動で、凄まじくフル稼働する思考。
菊地原くんが菓子パンを好きなのは分かったけど、かといって健康を損なうような食生活を見過ごせるほど、私は無関心な人間ではない。
まして大切な菊地原くんだからこそ、そこは気に掛けたくなるのであって、例えお節介と言われようが私はこの言葉を言わずにはいられなかったのだ。


「だったら私が作ってあげようか?」


我ながら大胆な行動に出たと思う。言ってからハッとしてしまった。
だけど菊地原くんが栄養失調で倒れたりしたら私悲しいもの。
迷惑じゃなければ、いっそ自分が管理してあげられる範囲でしてあげたいと思ってしまったのだ。

そんな私の望みが彼に届いたのだろうか。
菊地原くんはパチパチと数回瞬きをしたのち、私を見据えたまま「いいの?」と首を傾げた。
私は真顔で「うん」と頷いた。
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