LOVEPAIN
「――ああ、やっちゃいましたね……」
篤はすぐには動けないようで、
救いを求めるように
成瀬にゆっくりと視線を向けた
「あれだな?
これ、ぶつかってもエアバック出ないんだな。
あれか?
これくらいの衝撃じゃあ出ないのか?」
成瀬は楽しそうに
この状況を検証している
「そんな事を言ってる場合じゃあ」
篤は戸惑い
今にも泣き出しそうだ
私だって
篤のように戸惑っている
「さすがベンツ。
これくらいじゃあ、
へこみもしてないみたいだし。
傷は付いただろうが。
ま、会社の車だし、
気にすんな」
成瀬は落ち込む篤に檄を飛ばすと、
私の方へと顔を向けた
「着いたぞ」
「着いたって、ここ――」
窓のすぐ外に見えるのは……
それは紛れもなく、
私の住むボロアパート