LOVEPAIN

「あっ、ありがとうございます」



正直、貧乏の私は奢って貰える事がとても嬉しい


財布も家に置いてきてしまったし



本当は遠慮とか嘘でも一度はするべきなのだろうが、

不思議とこの人には
素直に甘えられる


誰かに世話になった時に感じる気の重さも感じない



私にとって成瀬はまだ知り合ったばかりで遠い人なはずなのに、

遠慮するような間柄じゃないような、

不思議な関係




「あっ、このおろしうどんとか旨そうじゃないか?

女子とかこんなの好きだろ?
これにするか?」


成瀬はそのうどんが入った丼型のパックを眺めている




「私、うどんはちょっと……」



ここ最近、うどんばかり口に入れていたせいで、

もううどんは嫌だ


見たくもない





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