LOVEPAIN
「あっ、時計!腕時計!
その時計のブランド名とかは……」
と、思ったけど、
それもまた訊いた所でよく分からない
なので、質問を変えてみる
「その時計、
いくらだったんですか?」
「えっ?そんな事訊いてどうすんだよ?
確か、120万くらいかな?」
「えっ!!
腕時計一本が、
120万もするんですか?!
これがですよね?!
本当ですか?」
私は驚き、
その腕時計をまじまじと見てしまう
文字盤が大きいし、
変わった形
「――お前、なんかうっとおしい。
これ、フランクミュラーだから、
妥協せず気に入ったのを買おうと思ったら、
それくらい普通にするだろ?」
成瀬は自分の左手首に有るその腕時計を、
不安そうな顔で
確かめるように見ている
「そうなんですか。
私その辺り、
浮世離れしているかもしれません……」
高い時計に限らず、
ブランド物には全く疎い私
お金が無いから知る必要も無ければ、
欲しくなると困るから、
知ろうともしなかった