LOVEPAIN
「おかえり、鈴木広子さん」
スズキヒロコ、と
私の名前を一文字ずつ区切るように、
その男は口にした
畳に座り込み、押し入れにもたれ掛かっている
「ど、泥棒…では、
ないんですよね…?」
私はその男を捕らえるように目を向けた
その男はスーツを着ているが、
それでも普通の会社に勤めているようには思えない
特別、スーツやシャツの色が派手な訳でもない
グレーのスーツにシャツは白で、
至ってシンプル
頭髪だって黒いままで、ピアスの類いもない
だけど、その眼光や何かを企てているかのように上がる口角に、
恐怖や威圧感を感じる
あっ、と声が漏れそうな程に端麗なその顔も、
鳥肌が立つ程の色気も、
私に恐怖しか与えない