真夜中の魔法使い


部屋に戻るとミユウは、外出用のコートをクローゼットから取り出した。
それを椅子の背もたれにかけ、ベッドの横まで椅子を移動させた。

そして戸棚から裁縫セットを取り出した。
このセットには普通の針と糸のほかに、乾燥させた薬草や、動物の毛糸などが揃えられている。


魔法には杖を使って呪文を発動させるものの他に、薬草などの力を借りるものもある。たとえば魔法薬をつくる場合は、複数の材料を砕き、完全に混ぜ合わせることで呪文だけでは出せない力を引き出すことができる。


その効果が一番わかりやすいのは、呪いである。

人を傷つける魔法は大まかに2種類あって、一つは杖を使った呪文で発動させるもの、もう一つは毒薬を作ることである。前者は相手に外傷を与え、後者は身体の中を蝕むものだ。


もちろんその逆の、人を救う魔法にも薬草は欠かせないものである。ミユウとアキが今、なんの後遺症もなく元気に過ごせているのは、ミナトが作ってくれた薬のおかげである。




< 230 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop