真夜中の魔法使い



「ミユウ、食べるならたべろよ。」



考え事ですっかり手が止まったミユウをミナトが注意する。



二人はとっくに食べ終わってお兄ちゃんは食後のコーヒー、アキは紅茶を飲んでいた。




「あ、はーい。」



急いで残りのフレンチトーストを切り分ける。



元々食が細いのに加え、今朝はさらに進まない。
本来だったら大好物のはずのフレンチトーストを無理やり飲み込んでいく。




「ごちそうさまでした。」



アキは大層ご機嫌そうに完食していた。
余談だが、ティーカップを置くその振る舞いまでもがどこか品を感じさせた。



「アキ、ちょっといいか。」



同じようにマグカップを置いたお兄ちゃんが庭の方を指して問いかける。



「はい。」



二人はお兄ちゃんを先頭にリビングの大きな窓から庭に出て行ってしまった。












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