真夜中の魔法使い
少年は自分の杖を床に置き、両手を挙げていた。
「これなら、怖くないよね?」
ある程度の力のある魔法使いなら、杖を使わなくても十分に呪文を使えたが、不思議とミユウの心は鎮まっていた。
ゆっくりと、頷く。
それを見た少年は、にっこりと微笑んだ。
片膝をついて、ベッドの上のミユウに手を差し出す。
「僕はアキ。よろしく。」
何故だか、目が逸らせなかった。
アキの目は、月夜に照らされて銀色に光っていた。