いつの間にか恋してた。

名簿順だから丁度あたしの前の席が明希だった。

その明希が椅子に座ったまま後ろを向いてあたしの頭を叩いたのだ。

「……何?」

あたしは冷めた目をして明希を見た。

「何って…珠紀は式に出ないんですかー?」

棒読みで言った明希の言葉に固まる。

「え、ガッキーの話は?」

だってさっき、ガッキー話してたし…

「は?もう五分前くらいに終わってるから。」

何言ってんの?みたいな顔しながら答えてくれた明希。

いつの間に終わってたの!?
全然気付かなかったんだけど…

「で、今から始業式。あのハゲの長い話を聞きに体育館へわざわざ行かないといけないんだけど。珠紀はサボるの?ならうちもサボ…」

「行こっ!!」

あたしは明希の言葉を聞かずにすぐさまシューズを持って教室を出た。

教室には数人の男子しか残っておらず、多分大半の人はもう体育館に向かったのだろう。

あたしの後を「置いていくなよー」と言いながら急いでついてきた明希と一緒に急いで体育館へ向かった。


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