いつの間にか恋してた。


ザワザワ―

ふぅー。なんとか間に合ったっぽい。
でも、皆もう整列してるし。

「…うちらのクラスどこ?」

明希があたしの耳元でコソッと言ってきた。

うーん…。

新しいクラスだからわかんないなぁ

ってか、誰と一緒だったっけ?

あたしと明希で体育館の入口で迷っていると

「何してんの?」

突然、後ろから声がした。

振り向いてみると

「あ、輝星じゃん!」

明希がその声の主を見て言った。

そう。
そこに居たのは、さっきあたしを助けてくれた輝星だった。

「あ、何だ…西村と明希だったのか!」

多分、輝星が見てたのはあたし達の後姿だったから誰だか分らなかったんだろう。

ん?てことは、誰だか分らなくても話しかけてきたって事?

……やっぱり優しいな。輝星って。

だって、輝星が話しかけてくる前に何人かの男子が体育館の中に入っていった。

でも誰もあたし達なんて無視して、素通りだったから。

まぁそれが普通なんだけどね…

「何だって何よー!!」

「ハハハ、ごめんごめん!で、どうしたんだよ?」

「話を逸らすなー!!!」

明希は怒ったフリをしながら、でもどこか楽しそうに輝星と話していた。

あぁーあ。あたしもそうやって男子と普通に話したいな。

なんて思ってたら…

「あぁーもーうるせぇなぁ。ちょっと明希は黙っとけ!ってか、俺は西村に聞いてんだけど」

へ?!
あたしに聞いてたの!?

うそー!!

突然あたしの名前が出てきたことに驚くしかなかった。


< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop