あの頃の君へ〜eternal love〜
カウンターの前に置かれた
誰もいない待機席の赤いソファー。



その隣にいくつか並んだ
黒く丸い艶のあるテーブル。



だんだん目に映る全てのものが
混ざり合うように歪んで見え始めた。



“菜々”



心の中で名前を呼んだ。



今すぐにでも会いたい。



あの肌に触れてみたい。



あの笑顔1つで



どんなに辛い時も苦しい時も支えられ



乗り越えられていた事に
今ようやく気がついた。



『おはようございまーす。』



店の入口のドアが開き
瑛斗がひょっこりと顔を出した。



『おう。おはよう。早いな。』



『いや、そっちこそ。
昨日は眠れましたか?』



『あ、ああ。まぁな…』



適当に相槌をして瑛斗から見えないように
奥の洗い場にグラスを置いた。
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