あの頃の君へ〜eternal love〜
キャストたちも徐々に出勤し始め



みんなの楽しそうな笑い声が
更衣室から響き出した。



ふと時計に目をやると
時刻は開店15分前をさしていた。



“そろそろ菜々さんが来る頃か”



と思うと同時に入口のドアが開き



いつもと変わらぬ笑顔の
彼女がやって来た。



やっと会えた、本当に会いたかった人。



彼女は全身から甘い花のような香りを
ふんわりと漂わせていた。



『鶴見さん、おはようございます。』



『………はよ。』



会えた嬉しさを隠すように
俺は普段よりも素っ気なく返した。



彼女はそれにもよらず



ニッコリと微笑んで
俺の横を通り過ぎようとした。



その瞬間、俺の中の理性の糸が
どこかでプツンと切れたような音がした。
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