BEAST POLICE
いつものように鬼首會の事務所前に張り込んでいた巽。

そんな彼の革ジャンのポケットで、スマホが着信する。

表示されているのは見慣れない番号だ。

巽は電話に出る。

「誰だ」

『ああ、巽 英二刑事ですか?』

電話の向こうから聞こえてくるのは、実に穏やかな男の声だった。

しかし巽にはわかる。

声色など、どうとでも取り繕える。

肝心なのは、その声色の裏に隠されたどす黒い悪意…。

『いやぁ…意外でしたよ…』

男は一方的に語る。

『野獣の通り名で知られる武闘派の巽さんが、今をときめく女子高生アイドルと懇意にしておられたとはねぇ…向井 環さん…でしたか?』

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