ドロップ・ダスト【完】



「そんじゃ村上、あとよろしくー」


いつも通り、黒板よりお雛様を眺めている時間の方が明らかに長かった授業を終え、部活へ向かう前に教室掃除をしていた私だけど、じゃんけんで負けたがためにゴミ捨て当番を任されてしまったのである。
先に解散する班員を恨めしい目で見つつも、丸まったプリントやジュースの紙パック等で程よく膨らんだゴミ袋を手に渋々足を進める。

ゴミ捨て場はあまりひと気の無い校舎裏の屋外にあり、おまけに私の教室からは結構な距離があり、必然的に手間を要する。これは大規模な高校ならではのデメリットと言えよう。
だからゴミ捨て当番をするくらいなら、異臭を放つ雑巾をつまんで教室の床拭きをした方が気楽と意見する者も多い。

しかしいくら愚痴を並べようとも負けは負け。
任された仕事を放棄するほど無責任な人間にはなりたくないので、私は長い廊下をやや早足で進んで行ったわけだ。
途中廊下でプロレスをしていた男子生徒とぶつかるという事故もあったが、なんとかゴミ捨て場に辿り着いた、いや正式には到着すべく最後の角を曲がろうとした矢先のこと。
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