【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
「どうせなら夜桜にしろよ」
「え、なんで」
「俺の下の名前さ、桜に夜って書いて桜夜(さくや)っていうんだ」
「……それが?」
初耳のそれに対し「ホストみたいな名前ですね」というコメントは控えつつも訊ねれば、
「だーかーらー、俺のために描けってこと」
「どうしてそうなるの」
「さっきゲーム代奢ってやっただろォ」
それはおかしい。私は奢ってなんて一言も言ってないし、だいたい勝手にお金出して付き合わせたのはそっちじゃないか。
あの状況から考えればこっちは被害者も同然のはずなのに、なんで感謝の意を表さなければいけないのだ。
とは言え、題材を夜桜にするのは有りかもしれない。
曽根くんのためというのはオマケ要素にするとして、検討してみる価値はありそうだ。
真剣に考え込んでいると、隣にいた曽根くんは「けって~い」と私の有無を問わずに決断を下し、更には校舎裏のあの桜の木をモデルにしようと一人で話を進め出した。
「え、なんで」
「俺の下の名前さ、桜に夜って書いて桜夜(さくや)っていうんだ」
「……それが?」
初耳のそれに対し「ホストみたいな名前ですね」というコメントは控えつつも訊ねれば、
「だーかーらー、俺のために描けってこと」
「どうしてそうなるの」
「さっきゲーム代奢ってやっただろォ」
それはおかしい。私は奢ってなんて一言も言ってないし、だいたい勝手にお金出して付き合わせたのはそっちじゃないか。
あの状況から考えればこっちは被害者も同然のはずなのに、なんで感謝の意を表さなければいけないのだ。
とは言え、題材を夜桜にするのは有りかもしれない。
曽根くんのためというのはオマケ要素にするとして、検討してみる価値はありそうだ。
真剣に考え込んでいると、隣にいた曽根くんは「けって~い」と私の有無を問わずに決断を下し、更には校舎裏のあの桜の木をモデルにしようと一人で話を進め出した。