恋のはじまりは曖昧で

その涙を見て誤解したのか、浩介さんが心配そうに私の顔を覗き込んできた。

「もしかして嫌だった?」

あ、この表情を見るのは二回目だ。
さっきの一緒に住みたいと言ってくれた時と同じ。
私は慌てて首を左右に振った。

「嫌じゃありません。すごく、嬉しいです」

「じゃあ、予約は受け付けられたってこと?」

「……はい。予約完了です」

嬉しさを噛みしめながら返事をすると、浩介さんはこぼれるような笑顔になる。
そして、私の涙を拭うように目尻にキスをした。

恋のはじまりはいつだったかなんて覚えてなくて曖昧だけど、気がつくと恋に落ちていた。
ドラマみたいな人生なんて求めていない。
浩介さんと仲良く穏やかに笑い合えるだけで満足だ。

これから二人で幸せな未来を想い描いていきたい。

「紗彩、好きだよ」

「私も浩介さんが大好きです」

甘い愛の囁きに、ありったけの想いを込めて伝えると唇に優しい口づけが落とされた。


end.

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