seasons.(シーズンズ)【完】

believe.

*夏枝side


賑やか通り越して喧しい教室内でさえ、大人しく本と睨めっこしているもんだから不審に思い情報収集してみれば、米澤冬香はなかなか興味深い人物だった。
親睦を深めるべく近寄ってみるも、「話し掛けないで」や「放っておいて」と自ら孤立しようとする返答ばかり。
金沢いわく中学校に上がった時にはこのスタイルができあがっていて、もちろんあたしのように声を掛けた世話焼きが何人もいたそうだけど、やっぱり振り向いてもらえず現在に至る……って笑わせてくれるじゃないの。
どんな理由か知らないけど、華の青春時代を謳歌しないとはこの芳賀夏枝が天罰をくだしてやるわ!


「しっかしまぁ、その肝心の理由とやらが気になるわね」
「う~ん、さすがにそれは加奈も分かんないんだよね~」
「転校してきたばかりのハルが知ってるわけないし……」
「そりゃあな」


只今体育の授業真っ最中。
まだ春のくせに無駄に張り切っているお天道様に堪えきれず、そそくさと日陰に避難したあたしは、サッカーそっちのけでハルと加奈と作戦会議をしていた。
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