君と夢見るエクスプレス

嘘ついちゃった。



もやもやとした思いが、攻め立てるように付きまとう。



大学の友人なんて、しばらく会ってないし連絡も取ってない。すっかり疎遠になってるというのに、何言ってんだろ。



本当に、バカだな……



掃除をしてる手が何度も止まるたびに溜め息。あんなに軽やかだった動きが、完全に鈍ってしまって捗らない。



彼が悪い訳じゃない。
彼は急な仕事が入っただけ。
彼を責めちゃいけない。



罪悪感とともに虚しさが、常に私の傍にいて胸をちくりと刺しては問いかける。



どうして、嘘をついたの?
どうして、素直になれないの?



そんなこと言われても、私にだってわからない。



どうにもならなくて、イライラは募るばかりで。吐き出せないまま早々に掃除を終えて、ベッドに突っ伏した。



きっと、寝たら忘れられるはず。





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